どんな場面で使う注文で、どんなメリットやデメリットがあるの?
FXを始めたばかりの方は「FXにはどんな注文方法があって、それぞれどんな特色があるのか」でお悩みかと思います。
FXには様々な注文方法がありますが、その中でも「成行注文」はもっとも基本となる注文です。
今回この記事では、
- FX取引での成行注文とはどういうものか
- 成行注文の使い所や役立つ場面
- 成行注文のメリット・デメリット
といった「FXの成行注文とは?」について、あれこれ解説していきます。
「これからFXを始めたい」「最近FXを始めたばかり」といった方々にもやさしい記事となっていますので、安心してご覧ください。
FX取引の成行注文とは?

成行注文とは、FX取引の注文方法のひとつで、売買価格を設定せずに注文を出すものです。
その他の注文方法では「この価格で注文する」と売買価格を設定するので、ここが成行注文の大きな特徴と言えるでしょう。
売買価格を設定していないため成行注文が約定するまでのスピードは速く、注文したその瞬間にほぼ約定します。
約定(やくじょう)とは、FX取引において売買が成立すること。成行注文では「注文 = 約定」ではなく、注文情報がFX会社に届きそれが処理されたときに約定するので「注文 ≒ 約定」となる。
成行注文とは、どんな時に役立つ注文方法?

成行注文が有効な場面としては、
- いま現在のレートで直ちに新規注文したい
- いますぐ決済して利益を確定したい
- いますぐ決済して損失拡大を防ぎたい
というように、新規注文・決済注文のどちらの場合でも、直ちに約定したい時が挙げられます。
上記それぞれの場合を「米ドル/日本円」のFX取引を例に見てみましょう。
いま現在のレートで直ちに新規注文したい
まずは現在のレートが1米ドル100円だとして、ここで、
と予測したとします。
利益を取り損ねないようにするには、為替が動く前に直ちに米ドルの「買」注文を出したいですね。
というわけで「買」の成行注文を出して、1米ドル100円で約定しました。

パターン1:いますぐ決済して利益を確定したい
この後、予測どおり円安方向に為替が動いて1米ドル110円に到達しました。
ここで、
と判断し、そうなる前にさっさと決済して利益を確定したい状況です。
というわけで、ここでも成行注文を出し、1米ドル110円での決済が約定しました。
今回のFX取引では10円分の利益ですね。

パターン2:いますぐ決済して損失拡大を防ぎたい
1米ドル100円で新規注文を約定後に、先ほどとは逆で為替がどんどん円高方向に動いたとします。
と判断し、ここで少しでも損失を少なくするために直ちに決済したい状況です。
なので成行注文での決済注文を出し、1米ドル90円での決済が約定しました。
今回のFX取引の損失は10円分に抑えることができましたね。

成行注文とは「いますぐに」「確実に」注文を約定させたい時に出す注文方法。
成行注文での注文の出し方

成行注文での注文方法は各FX会社での方式によります。
大体のFX会社では、成行注文の注文画面では、下のようにリアルタイムでの「売」と「買」の価格が表示されます。

一般的には、
- 青色表示が「売」価格
- 赤色表示が「買」価格
の表示です。
同時刻・同通貨ペアでも「売」と「買」で価格が異なるのがFXの特徴ですね。
この価格差を「スプレッド」と呼びます。

成行注文では注文画面にある「注文確定ボタン」を押した瞬間に実行されます。
「注文確定ボタン」は、
- 「売」と「買」の価格表示がそのまま「注文確定ボタン」になっている
- 「売」と「買」どちらかを選択し、別途「注文確定ボタン」をクリック(タップ)する
といった方式がほとんどです。

上の図の場合は、「買」ボタンをクリック(タップ)した瞬間に注文が確定されます。
※ここで「本当に注文しますか?」と最終確認が表示される場合もあります。
為替やチャートを見ながら、注文したい時にボタンを押すだけと非常にシンプルですね。
成行注文のメリット・デメリット

成行注文のメリット・デメリットを見ていきます。
成行注文のメリット
成行注文には次のようなメリットがあります。
- 複雑な設定がなくシンプル
- 為替の値動きを見ながら注文できる
- 買い(売り)たいと時にすぐ買え(売れ)る
成行注文はボタンを押すだけで注文が確定します。
そのほかの注文方法で必要な価格設定もなく、とてもシンプルです。
FXを始めたばかりの頃は、為替の動きやチャート画面をある程度はじっくり観察していくことになるかと思います。
成行注文で、チャートを見ながら「いま注文する頃合いかも!」と思った瞬間に注文できるのは、FX取引の学習にも最適でしょう。
またこれらのメリットは、
- スキャルピング
- デイトレード
といった、短いスパンで数多くの売買を繰り返すFX取引にも向いています。
成行注文のデメリット
メリットとは反対に、成行注文にはデメリットもあります。
- 為替レートやチャートを常にチェックしないといけない
- 注文が感情に左右される
- 注文時と約定時の価格に差異が生じる
成行注文は為替レートやチャート画面を見ながら注文するので、常にその動向をチェックする必要があります。
なので、普段は会社勤めをしているサラリーマンの方などは、その時間を確保するのが難しいかもしれませんね。
仮にチャートを見る機会を多く作れたとしても、24時間ずっと見続けるのは不可能です。
たまたま自分がチャートを見ていない時に絶好の取引チャンスを失っていた、なんてことも考えられますね。
また、注文するかどうかは感情にも左右されるため、
と注文に踏み切れない時もあるでしょう。
ちなみに「悩んた結果、注文するのを待った」という場面は後から考えると、
という体験談が多くあることも覚えておいてください笑
さらに、成行注文には注文時と約定時の価格に差異が生じることもあります。
これについては次章にて解説していきますね。
成行注文で生じる「注文時」と「約定時」の価格の差異

成行注文では「注文時」と「約定時」に価格の差異が生じるケースがあります。
例えば、米ドル/日本円の取引で「1米ドル100.02円」のときに成行注文したところ、約定したのは「1米ドル100.05円」だったとします。
これには、
- 人為的要因による差異
- システム的要因による差異
以上の2つが考えられます。
それぞれ見ていきましょう。
人為的要因による差異
この差異はシンプルで、
- 注文しようと思った価格(1米ドル100.02円)
- 実際に注文ボタンを押した時の価格(1米ドル100.05円)
という感じで、注文ボタンを押す瞬間に為替が変動した事によって生じます。

為替は常に動いているので、アナログ操作な成行注文では、この現象はどうしても起こり得ます。
為替が得する側に動いたらラッキーですが、損する側に動いたら凹みますね。
システム的要因による差異 = 「スリッページ」
この差異が生じる原因は、
- 注文ボタンを押した時の価格(1米ドル100.02円)
- その情報がFX会社に届き、約定した時の価格(1米ドル100.05円)
この間に生じる為替の変動です。
FXではこの差異を「スリッページ」と呼びます。

具体的には、
といった設定が可能です。
この設定を「許容スリッページ」と言います。
「許容スリッページ」は「許容スリップ」とも言われ、FX会社によって表現が異なります。
また設定方法も各社で異なるので、それぞれのFX会社の仕組みを要確認です。
ここで、最初に「成行注文は確実に約定する」と説明しましたが、許容スリッページを設定している場合は約定しないときもありますね。
なので、スリッページを度外視でとにかく約定させたいときには、許容スリッページを設定しない方がいいでしょう。
FX取引の成行注文とは?|まとめ
以上、FX取引の注文方法のひとつ「成行注文とは?」に関する解説でした。
まとめると、
- 成行注文は「素早く」「確実に」約定させることに優れた注文方法
- 注文価格の設定がなくシンプルな注文方法で、為替の動きやチャートを見ながら注文するので初心者にもおすすめ
- 注文価格を設定していないため、注文時と約定時の価格に差異が生じることもある
って感じです!
FX取引の注文方法で「成行注文」は基本中の基本です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上です!