FX取引での必要資金の目安や、管理方法を教えてよ。
FX取引をこれから始めたい初心者の方で、
- FX取引っていくらからできるんだ?
- 口座資金にはどれくらい入金しておけばいいんだ?
- FX取引にはどんなリスクがあって、どういう資金管理をすればいいんだ?
こんなお悩みを抱える方もいるかと思います。
今回この記事では「FX取引に必要な資金や、その管理・運用」について説明していきます。
FX初心者の方にも分かりやすいように、できる限りやさしく説明しますので、安心してご覧ください。
という方はこちらをご覧いただければと思います。

FX取引の必要資金はいくらから?

まず結論から言うと、FX取引では売買する金額と同額の日本円が口座資金として入金されていれば、ほぼ安心・安全な運用ができます。
つまり、
- 1米ドル100円のときに1万米ドルの取引なら:1万 × 100 = 100万円
- 1加ドル80円のときに1万加ドルの取引なら:1万 × 80 = 80万円
- 1豪ドル70円のときに1万豪ドルの取引なら:1万 × 70 = 70万円
を必要資金の目安にしておきましょう。
ですが、これにはFX取引特有の売買ルールも考慮した上で推奨している設定資金なんです。
それを説明するために、まずはFX取引における最低限度の必要資金から解説していきます。
FX取引に必要最低の売買単位は?
最初に、FX取引での一度の売買に必要な最低数量を把握しておきましょう。
まず答えを言うと、一度のFX取引では最低「1,000通貨」または「1万通貨」が必要です。
どっちよ?
なので利用するFX会社のウェブサイトや注文画面を確認しましょうね。
おおよそのFX会社が採用している最低数量は「1,000通貨」または「1万通貨」なので、その額を想定していればほぼ間違いでしょう。

中には最低数量が「1通貨」や「100通貨」に設定されているFX会社もあります。
- 余裕資金が少なく、高額な取引ができない
- 最初は少額スタートでFX取引を勉強したい
といった方にはおすすめですね。
Lot(ロット)数に注意
ここで例えば、最低通貨数量が「1,000通貨」のとき、FX取引は「2,000通貨」や「3,000通貨」と1,000通貨を最低単位としての売買になりますよね。
というわけで「最低通貨数量1,000通貨」を指して「1,000通貨単位」とも呼ばれます。
なので「弊社は1,000通貨単位での取引です。」といった表現が出てきたら、
という理解でOKです。
もっとシンプルにならんのかね。
そんなわけで「通貨単位」をひとつのセットとして「〇〇通貨単位 = 1Lot(ロット)」と呼ばれたりもします。
ここで気をつけたいのは、通貨単位はFX会社によって異なるということ。
つまり、同じ1LotでもFX会社が違うと、それが「1,000通貨」を指したり「1万通貨」を指したりします。

自分では1,000通貨のFX取引をしていたつもりが実は1万通貨だった、なんてこともあり得ますね。
さらに言うと、最低取引数量が「1Lot」ではなく「0.1Lot」というFX会社もあります。
こちらもしっかりチェックしておきましょう。
「証拠金」「レバレッジ」より、少額資金でのFX取引が可能
ここまで、FX取引の最低数量や通貨単位、Lotについて説明しました。
- 通貨ペア:米ドル/円
- レート:1米ドル100円
- 最低取引数量:1Lotから
- 1Lot:1,000通貨
ここ大事なところですが「FX取引は口座資金から必要額を担保にして為替を取引する」ような仕組みなんです。
要するに10万円分のFX取引に10万円は必要ないんです。
では取引に必要な資金は?と言うと、これもFX会社によって異なりますが、ほとんどの会社が「取引額の4%」を採用しています。
これを上記にあてはめると「1,000(通貨)× 100(円)× 0.04 = 4,000円」となり、米ドル1,000通貨のFX取引には、4,000円の資金があればOKです。
ここで必要資金として算出された金額(ここでは4,000円)を「証拠金」と呼びます。

逆に言うと、このとき「10万 ÷ 4,000 = 25」となり、実際の25倍の金額でFX取引を行なっていることになりますね。
この倍率(ここでは25倍)のことをFXでは「レバレッジ」と呼びます。

低資金で始めるFX取引のリスク

ここまで、FX取引に必要な最低資金を解説しました。
はい、この考えは非常にリスクがあるので説明します。
口座資金は「証拠金」と「余剰金」に分類される
FX取引の必要資金は「証拠金」として担保される、と先ほど解説しましたね。
なので、外国通貨を保有しているときにその「証拠金」は自由には動かせません。
このとき自由に動かせる資金は「口座資金から証拠金を引いた金額」になり、これを「余剰金」と呼びます。

例えば下の条件で、 FX取引することを考えてみます。
- 通貨ペア:米ドル/日本円
- レート:1米ドル100円
- 口座資金:5万円
- 取引数量:1万通貨(= 1万米ドル = 100万円)
- レバレッジ:25倍

レバレッジが25倍ということで、実際の1/25(=0.04倍)の金額でFX取引できますね。
証拠金の計算式としては「1万(通貨)×100(円)× 0.04 = 4万円」と、わずか4万円で1万米ドル(=100万円)が買えます。
このとき「5万円(口座資金) – 4万円(証拠金) = 1万円」と、1万円が余剰金になります。

「含み損 = 余剰金」で「強制ロスカット」
先ほどの条件で為替相場が変動したことを考えてみます。
為替相場が「利益」方向に動いた場合
まずは1米ドル110円になったとします。

この時に決済すると「10円(差益) × 1万(取引通貨) = 10万」と、10万円の利益になりますね。
決済したので「証拠金」の縛りがなくなり、口座資金すべてが余剰金。
今回の利益の10万円も合わせて、15万円となりました。

為替相場が「損失」方向に動いた場合
それとは逆に、今度は1米ドル99円に変動したと想定してみます。

この時の含み損は「1円(差損) × 1万(取引通貨) = 1万」で、1万円ですね。
保有している通貨をいま現在の為替相場で決済した時に生じる利益や損失のことを「含み損益」と言います。
そして、含み損益が利益になるときを「含み益」、損失になるときを「含み損」と言います。
- 100円で買った1米ドルを現在110円で保有中:10円の「含み益」
- 100円で買った1米ドルを現在90円で保有中:10円の「含み損」
って感じですね。
というわけで、この時点で口座資金の「余剰金」と「含み損」が同じ1万円になりました。
「余剰金」とは先ほど説明したとおり、口座資金の中から自由に動かせる資金です。
つまり現状「含み損が口座資金の中で自由に使えるお金の上限額に達している状態」だと言えます。
もしこのまま円の下落が続いて、1米ドル98円や97円となったら、上限額を超えて現在の口座資金ではカバーしきれなくなります。

そんな事態はFX会社も当然許してくれません。
厳しい規定を設けているFX会社では、「含み損 = 余剰金」になった時点で、
と、現在保有している1万米ドルが強制的に決済されます。
このことは「強制決済」「ロスカット」「強制ロスカット」などと呼ばれます。
※本記事では「ロスカット」と呼ぶこととします。
ロスカットされたら損失は余剰金から補填され、余剰金は0円に。
口座に残るのは証拠金となっていた4万円のみです。

為替相場で1円の変動なんて日常的にあることです。
余剰金は十分用意しておきましょう。
FX取引を安心・安全に運用するための必要資金

以上より、余剰金にゆとりがないと、すぐにロスカットが待ち構えていることが分かりましたね。
「実効レバレッジ」という、新しいフレーズが出てきました。
「レバレッジ」の頭に「実効」がくっつきましたが、両者の違いはこんな感じです。
レバレッジ | 「取引数量 ÷ 証拠金」で算出される倍率。多くのFX会社では25倍固定。 |
---|---|
実効レバレッジ | 「取引数量 ÷ 口座資金」で算出される倍率。余剰金が多いほど少なくなる。 |

このように「実効レバレッジ」とは口座資金全体でレバレッジを捉える考え方です。
例えば、先ほどまでの条件で実効レバレッジを算出してみます。
- 通貨ペア:米ドル/日本円
- レート:1米ドル100円
- 口座資金:5万円
- 取引数量:1万通貨(= 1万米ドル = 100万円)
- レバレッジ:25倍
実効レバレッジは「100万円(取引数量) ÷ 5万円(口座資金) = 20」と、20倍です。
この設定では1米ドル99円で余剰金が0になる計算でしたね。
ここでもし、口座資金が「10万円」「20万円」「100万円」だったとしたら、「実効レバレッジ」「余剰金が0になるレート」はそれぞれ下の表のようになります。
口座資金 | 実効レバレッジ | 余剰金0になるレート |
---|---|---|
5万円 | 20倍(100/5) | 1米ドル99円 |
10万円 | 10倍(100/10) | 1米ドル94円 |
20万円 | 5倍(100/20) | 1米ドル84円 |
100万円 | 1倍(100/100) | 1米ドル4円 |
この表より、日本円が下落したときでも「実効レバレッジが低いほど、保有通貨がロスカットされずに耐久できる」と言えます。
特に実効レバレッジが1倍のときには「1米ドル4円」に下落するまでロスカットのリスクはありません。
というわけでFX取引を始めたばかりのうちは、実効レバレッジが1倍近辺になるように口座資金や取引数量を管理するのが安心・安全かと思います。
ちなみに実効レバレッジが1倍を少し割ってくると、余剰金だけで取引金額を上回るので、ロスカットとは完全無縁です。
目安としては「取引数量と同じくらいの金額を口座資金として入金しておく」でOKでしょう。
これで冒頭で提案した結論のとおりですね。
FX取引の必要資金|まとめ
以上、FX取引での必要資金や、管理・運用についての解説でした。
まとめると、
- FX取引の最低数量は、ほとんどのFX会社が「1,000通貨」か「1万通貨」から
- 取引数量の4%の「証拠金」が口座資金にあれば、FX取引は可能
- ロスカットのリスクを排除して安心・安全な運用をするために、まずは「実効レバレッジ1倍」のFX取引を目指そう
って感じです!
慣れてきたら取引数量を多くするなど、実効レバレッジを調整していけば良いかと思います。
以上です。